残像

6月10日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー

人はそれでもなお、信念を貫けるのか。巨匠アンジェイ・ワイダ監督、心震わす渾身の遺作!

原題:Powidoki /英題:Afterimage

残像とは、憶い出された過去の懐かしい映像のことではない。それは、かつてあった不幸な歴史が、形を変えて現代に再び悪霊のように浮かび上がってくる様を指す。そういう意味で、アンジェイ・ワイダの最後の映画は、まぎれもなく、現代に焼きつく鮮明な残像だと言えるだろう。
――森村泰昌(美術家)
「歴史の中で風が吹いてもやがて収まる」ならば、止まない風の中で逝った人々の思いを、私たちが受け止めよう。
――増田ユリヤ(ジャーナリスト)
アンジェイ・ワイダはスターリン主義の非人間性を暴きたかったのか?暴力的な社会主義に静かに抵抗する前衛芸術家の気高さを描きたかったのか?この映画を見終わった率直な印象は、両方だ!に尽きる。
――鳥越俊太郎(ジャーナリスト)
「暗い時代」を生きたワイダ生涯最後のメッセージ。わたしたちは再び「暗い時代」へと向かうのだろうか。
――上野千鶴子(社会学者)
国家体制によって潰される一人の芸術家。その抑制された素晴らしい演技をはじめ、脚本、撮影、時代考証などの面でも力作です。
――ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
どんなイデオロギーであろうが、過度な正義はつねに危険であり、政治にすべてを集約させようとすることは多様性を殺す。本作の問いかけは、いまの日本社会にも強い警鐘を鳴らしている。
――佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)
ワイダ監督最期のメッセージは、かつて世界が歩んだ道の残像なのか。それとも、この先に待ち構えている世界の投影なのか。
――大谷昭宏(ジャーナリスト)
ワイダ監督は最後まで闘う人を描き切った。その偉大な残像を、僕はずっと忘れないだろう。
――石川慶(映画監督)
悪い人は一人もいない。
でも自分の思考を放棄した瞬間に、誰かが誰かを追いつめる。多くの人を不幸にする、国家とは何か。その命題をワイダは突き付ける。
―― 森達也(映画監督)
国家権力が一寸刻みに芸術家の、そして人間としての存在を消していく。一度メカニズムが成立すると、誰にもどうにもできない。
――池内紀(ドイツ文学者・エッセイスト)
芸術が国に規制されることの愚かしさと残酷さ。わたしがお世話になった警察、検察、裁判官に是非観てほしいマン題作(問題作)です。
――ろくでなし子(マン画家・造形作家)
全体主義が画家ストゥシェミンスキのキャンバスを覆ったとき、国家主義が一人ひとりの人間の内面を覆うとき、何が起きるか。『残像』と、いまの日本社会の現像を比べてみる…。その像は重なりつつある。
――綿井健陽(ジャーナリスト・映画監督)
抗うほどに孤立を深めた、一人の芸術家の魂の軌跡。消え入るような闘いの灯は時を超え、鮮烈な光としてここに蘇っていた。
――安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
社会全体が一定の方向になびき国家による迫害が強まる絶望的状況の中で、人間としての誇りと尊厳を失わない主人公の生き方に感動。
――宇都宮健児(弁護士・元日本弁護士連合会会長)
「赤」い嵐のなか、全てを失っても魂だけは奪われることはない。 もっとも小さなものが大きな力に挑み続けること―芸術は、わたしたちを支え導く杖だ。
――今日マチ子(漫画家)
【敬称略・順不同】