CloverWorks制作による秩父を舞台とした「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」「心が叫びたがっているんだ」に続く3作目。
監督:長井龍雪、脚本:岡田麿里らヒット作を連発するスタッフが集結。また声優を旬な俳優陣が務めることでも話題となりました。
「空の青さを知る人よ」のあらすじ
埼玉県秩父市で暮らす高校二年生のあおい。学校が終わるといつも決まって裏山にある小屋で、趣味のベースを練習していました。
あおいには市役所に勤務する、14歳年の離れた姉:あかねがいます。早くに両親を事故で亡くしたため、姉妹2人で暮らしを送っていました。
あかねは、高校時代バンドマンを目指すしんのと付き合っており、あおいはしんのの影響でベースを始めたのです。
裏山の小屋に集まってはよくバンド演奏をし、それを幸せそうに聞くあかね。あおいは、「いつかベーシストとしてメンバーにしてやる」というしんのの言葉を今も覚えていました。
あかねの高校卒業の日、しんのは一緒に東京へ行こうとあかねを誘います。
しかし、あおいを一人残して東京に行くことはできず、誘いを断り、しんのは東京へ、あかねは地元の市役所に就職することにしたのです。
「空の青さを知る人よ」のネタバレ
それから月日は流れ…
あおいは高校卒業後、東京に出てバンドで天下を取ると豪語しますが、自分のために将来を犠牲にしてまで尽くし育ててくれたあかねのことを思うと複雑な心境でした。
ある日いつものように裏山の小屋で練習するあおい。すると突然声をかけられ振り返ると、そこにいたのは高校時代のしんのだったのです。
なぜかその小屋から出られず、あおいに助けを求めるしんの。あおいは驚き自宅に駆け戻ってあかねに話しますが、うまく伝わらず相手にされません。
すると、あかねの高校時代の同級生でしんののバンドメンバーでもあった正道が、大物演歌歌手が町おこしライブのため、秩父を訪れるから、歓迎に行こうとあかね達に伝えます。
駅前で到着を待つ3人。そこに現れたのは、大物演歌歌手とそのバックバンドでギターを務める31歳になったしんのでした。
あおいは高校時代のしんのへ会いに、裏山の小屋に向かいます。
小屋に居るしんのは、あかねに東京行きを断られ、一人で行くべきか決心に揺らいでいた頃のしんので、「自分は大人になったしんのがあかねとくっつくことで本体に戻れるのではないか」と思いつきます。
その頃、あかねは、大物演歌歌手の接待に付き合わされていました。飲み過ぎたしんのをホテルに送るあかね。お互い独身であることがわかると、「自分を待っていたんだろ?」と言いあかねを抱きしめます。
酔った勢いで抱きつくしんのに、あかねは怒り、突き放すように部屋を後にしました。
翌日、あおいを車で迎えに来たあかねの下に、大物演歌歌手のバンドメンバーが入院し、代役が必要との連絡が。
急遽、練習場に向かうあかねとあおい。代役としてあおいがベースでステージに立つことになり、リハーサルを行いますが、プロとの力の差は歴然。しんのにきつい言葉を浴びせられ、傷ついてしまいます。
その様子を動作で見た高校時代のしんの。怒りをあらわにして、あおいがもっと上手く弾けるよう練習に付き合うのでした。
練習中、あおいはこの町を出て東京に行きたい本当の理由を話し始めます。
自分のせいであかねの自由がないことにずっと責任を感じていた。あかねには幸せになってほしい。真剣に話を聞いてくれるしんのに、あおいは心惹かれ始めていることに気づきます。
小屋を後にしたあおいは、あかねのため、しんのを好きになり始めた自分の気持ちを必死に抑えつけようとするのでした。
ある日の練習中、ステージの裏で一人ギターを弾いているしんののもとへあかねがやってきます。
成功を夢見て上京したしんの。何とか1曲だけCDを発売するも、結果は上手くいかず、葛藤しているしんのに、あかねはその曲を弾いてほしいとお願いします。
“空の青さを知る人よ”。
それは、あかねが卒業アルバムに書く程に好きな文章の一節でした。
しんのはゆっくり歌いだします。モノマネなどを交えながら歌うしんの。あかねは楽しそうに笑っています。その様子をあおいは遠くから眺めているのでした。
あかねと過ごす時間に安らぎを感じたしんのは、町に帰ってこようかとつぶやきます。..が、寂しそうな表情を浮かべながらも、まだまだ道半ば、これからが大事だと背中を押します。
しんのが練習に戻った後、あかねは一人、大粒の涙を流すのでした。
あおいは気持ちの整理がつかなくなり、小屋にいる高校時代のしんのに、今の自分の気持ちぶつけます。突然の告白にしんのはどう受け入れていいかわからず、小屋からも出られないまま、去っていくあおいをただ見つめます。
ライブ当日。大物演歌歌手が願担ぎで持っていたペンダントを落としてしまい、急遽スタッフ総出で探すことに。
あかねは観光名所の近くにあるトンネルへ探しに向かいます。トンネルを捜索中、突然地面が揺れ始め、トンネルの一部が崩落して閉じ込められてしまいました。
その情報はあおいのもとへも届きます。心配でたまらないあおいは会場を飛び出しました。
一方、しんのは、昔練習していたあの小屋を訪れ、高校時代の過去の自分と対面します。
そこへ、あおいが駆け付けあかねが閉じ込められたことを伝えると、すぐに動き出さない大人になった自分にいら立ち、高校時代のしんのは、「自分が助けに行く」と小屋からの脱出を試みますが、見えない壁に阻まれてしまいます。
何度失敗しながらもあきらめない高校時代のしんの。その様子を大人になったしんのは見ていることしかできません。あおいの手助けもあり、壁を突き破ることができたしんのは、あおいを連れ、空高くあかねのもとへ飛んで行くのでした。
ペンダントを見つけたものの、トンネルから出られないあかね。脱出方法を考えていると、目の前に高校時代のしんのが現れます。
トンネルの外ではあおいや大人になったしんのが待っていました。自分は歩いて戻るからと言い、3人を会場へ向かわせます。
車で移動するあかね達。大人になったしんのは高校時代のしんのの前で、“夢もあかねのこともあきらめない”と宣言。安堵の表情を浮かべる高校時代のしんの。
2人が振り返ると、そこに高校時代のしんのの姿はありませんでした。
一人で歩くあおい。涙を浮かべ立ち止まりますが、その涙を拭って再び歩き始めます。そんなあおいの見上げた先には、澄んだ青空が広がっているのでした。